Ciseaux de Tailleur

POP UP SHOP 3rd(2019/4/19~4/21)~Story~

2019/05/24

Greeting


3回目となりました先日のPOPUPSHOP。
皆様、ありがとうございました。

 

 

今回は
「めくるめく世界」をコンセプトにしたコレクションをお送りいたしましたが
皆様の目にはどのようにご覧いただけたでしょうか?

 

 

少し視点を変え、スタッフの目から見た「めくるめく世界」を
ご紹介を出来ればと思います。

 

 

前回は日記のような文章でお送りしましたが
今回はテーマに沿ったイメージで少し散文的に。

 

 

それではCiseaux de Taillerと皆様で
「めくるめく世界」への旅へ向かいましょう。

 

 

 

 

 

POP UP SHOP 3rd(2019/4/19~4/4)~Story~


 

 

お正月の手前には、すでにもう
彼女の構想は決まっていた。

 

 

いや、私が知ったのがそのタイミングであっただけで
本当はもっともっと以前から、
その構想はあったのかもしれない。

 

「めくるめく世界」

 

このテーマを耳にしたとき、
なんと妖艶な響きなのだろう
と、感じたのは言うまでもない。

 


 

テレパシーのような、
妙な共感の仕方で彼女との仕事を進めているというのは
前回のstoryでも少し触れさせていただいた。

 

 

イメージビジュアルの制作からはじめたのだが、
「めくるめく世界」という言葉とともにコラージュで表現したい。
そう聞いて、正直不安であった。

 

 

コラージュは単純なものではない。
どちらかというとデコラティブな足し算の仕事が得意な私ではあるが
コラージュはあれは引き算のアートだと思っている。

 

 

そこに存在する全てが必要なオブジェクトなのだ。
ただ空間を、ただ空いたスペースを埋めるためのオブジェクトではなく、
重なり合った個々のオブジェクト
それぞれに意味と世界を持たせなければいけない。
そして、不必要なものを配置させてしまえば、
それでそのオブジェクトは異物以外の何者でもなくなる。

 

 

その上、「めくるめく世界」というフレーズ。
妖艶な中に、ファンタジーなイメージやキッシュなイメージ
アンニュイなイメージ・・・
少女性も、大人の女性の色香も漂ってくる。
まさに私が感じているCiseaux de Taillerのイメージにぴったりなのだが、
この相互が反しているのである。
ミニマムなコラージュと
さまざまな側面をもつ「めくるめく世界」という言葉が
まったく反対の方向へ向かっているように思えたのだ。

 

 
とりあえず、わらにもすがる思いで、
自分の引き出しにある、
コラージュだとおもう作品のアーティストを
かたっぱしから引っ張り出す。
横尾忠則、岡上淑子、マックス・エルンスト、
劇団犬カレー、ヤン・シュヴァンクマイエル・・・

 

 

デザイナーが表現したいことは何か。
そして、あたしがつかんだイメージはどうか。

 

 

その中で
ふっとひらめいた。

 

 

そうか、広がりを持たせることを考えてしまい、
足し算しか頭になかったのだが
そうではない。

 

 

必要な世界観を詰め込むことが
今回の「めくるめく世界」というテーマを冠するものだと。
そこにいらないものはない。

 
はじめの打ち合わせで既にデザイナーから答えを聞いていたのに
頭が面倒なほうへ進んでしまっただけである
そう思いついてからは早かった。
そうして出来上がったのが今回のイメージビジュアルだ。

 

 

 


 

 

イメージビジュアルの他に、
今回はドラァグクイーンのブルーネットさんも
販売スタッフとして店頭へお越しいただいていた。

 

 

 

開催日2日目、タイミングよく私は同時にその場所で販売スタッフとして
店頭へ立つことが出来た。

 

 

ブルーネットさんの妖艶さとキッチュなイメージが
まさしく、今回のめくるめく世界を体現していて、嬉々としたのは言うまでもない。
おそらく、ドラァグクイーンというにはカジュアルな装いだったのだが
(いわゆる俗世に対して気を使ってくださったのだと思う)

さすがだ。
かわいいという雑な言葉で表現したくないのだが、間違いなく可愛い。

 

 

そのバランスがまたもブランドのイメージとあいまって
独特の雰囲気が出ていた。

 

 

ブルーレットさん自身
お洋服に精通していらっしゃるのも理由のひとつだろう。

 

 

私は2日目のみしか店頭には立っていないが、
すごく居心地のよい空間だったように私は感じている。
現に、お客様もその世界観をすっと受け入れてくださり、
楽しんでもらえた様子をあたしは目に出来たように思う。

 

 

 


 

また、今回のスタッフは
以前、ブランドで働いていたスタッフさんも合流し
一緒に盛り上げることができた。

 

 

私はほとんど初見だったのだが、
デザイナーと話している雰囲気から、
おそらく旧知の仲であることは明らかだ。

 

 

二人の話している雰囲気に加え、
ブランドを熟知しているいつものしっかり者スタッフがわいわい話しているのを
一瞬客観的に見たのだが、本当に姉妹のように感じた。

 

デザイナーは真ん中、
旧知のスタッフは末っ子、
しっかり者スタッフが一番年下ではあるが、
圧倒的長女だ

 

 

ここも面白いところである。

 

 

それぞれに役割があり、その役割を言われずとも行えるというか・・・
これも一種のテレパシーのようなもなのだろうか。

 


 

 

前回も感じたことだが、お客様と話しながら
お洋服を見ていただき、ディティールの説明をしていくうちに
ある種、旅をしているような気分になる。

 

 

新しい宝石を、キラキラとした世界観を、
笑顔で見てくださるお客様に
お洋服の経緯やポイントを伝えていると
コチラが旅のアテンドをしているような、
そんな心地がする。

 

 

貴重な経験だ。

 

 

そして思うのが、お洋服を見に来てくださる、
ブランドを見てくださるのはもちろんのこと、
デザイナーに会いにいてくださるお客様がやはり多い。

 

 

彼女はどちらかといえば人見知りなタイプだと思うが、
パッと話す言葉がとても的を得ていて、
その上、その言葉選びが独特で話してるととても楽しい。

 

 

ましてやお洋服のこととなると、その知識は膨大だ。
そう、きちんと裏づけのある会話が出来るので
みんな、彼女にこぞって話をしたがるのだと思う。

(こんなことを言えば、照れ屋な彼女にいやな顔をされそうではあるが)

 

 


 

 

今回のめくるめく世界というテーマは
ある種なんでもござれのテーマである。

 

 

めくるめく
「魅力にひかれて理性を失う」という意味であるが
ただその中で、皆がみな、ブランドのイメージに寄り添えているのは
やはりデザイナーとCiseaux de Taillerというブランドが
20年をかけて確立してきた絶対的なイメージあるからだと感じている。

 

 

それに加えて、Ciseaux de Taillerを好きでいてくださる、
今この文章を読んでくださっている、
目の前のお客様が求めてくださるから
この難しいテーマにも負けない世界観を発信できているのだと私は思う。

 

 

次のテーマはどうするのだろうか。
おそらく、デザイナーの中では漠然とした構想は既にあるように思う。
次回に向けて、少し緊張しながらも、
今回めくるめく世界への旅は、一旦航海を終えることにしよう。

 

 

 

次回のテーマを携えた船出まで。