Ciseaux de Tailleur

POP UP SHOP 2nd(2018/11/2~11/4)~Story~

2018/12/04

Greeting


 

11月2日~4日に開催したPOPUPSHOPにお越しいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 

そろそろ、皆様のお手元にお洋服が届いた頃でしょうか。

 

今回、POPUPSHOPのお手伝いをさせていただきましたスタッフが、ひとつの実験的な試みとしてこちらを書き留めています。

少しばかり、皆様にお付き合いいただければ幸いです。

これはCiseaux de Taillerと皆さんとのちょっとした物語です。

 

 

 

 

 

POP UP SHOP 2nd(2018/11/2~11/4)~Story~


 

11月2日。

 

霜月を迎え、夕刻には少し肌寒さを感じる季節になっていた。
お昼ごろ、POPUP SHOPの扉が開く。
7月末の開催から約3ヶ月。
空気は着実に秋へと向かっている。

 

私は諸々の助っ人と販売スタッフとして、その優雅な場所へと招き入れてもらった。
今回お手伝いさせていただいたインスタレーションの設営に加え、開催のべ3日間のうち、販売スタッフとして携わった2日間について触れていこうとおもう。

 

ーーー

 

デザイナーとは10年以上、付き合いがある。
ただ、出会って数年は、ほど笑顔で話すことは少なかったに違いない。

 

よく話すようになったのはここ2年ほどの話だろう。
ただ、この2年は人が思う2年よりかなり密度のある時間だったようにあたしは感じている。

 

その所為か、彼女の作りたい、求めている世界観をなんとなく感じられるようになっていた。
シンパシーというのか。
いや、もっとこう、不可思議な、テレパシーのような少しオカルトチックな感覚かもしれない。

 

 

ーーー

 

 

今回のインスタレーションで大きく存在感を表したのはフィッティングルーム上の大きな黒いリボンだろう。

 

ザクッとした、霞のようなイメージを彼女に伝え、さらに彼女がそれを消化して話すうち、具体的に頭の中で形になっていく。

 

ある程度の設計図を頭の引き出しへそっとしまい、後日材料を調達。
アトリエにてスタッフ総出での制作を始めた。
ここだけの話ではあるのだが、正直予期できない不安を抱えていた。

 

(実際の設営をはじめてみなければ、これがどういった形になるか・・・)

 

そのため、小心者の私は最悪の事態に備え、別の魅せ方として使用できるタペストリーをこっそり作っておいた。
お守りのようなものだ。(あと、彼女に対するお礼の意味も込めて。)

 

 

 

 

そんな不安を抱えつつも搬入の当日を迎える。

 

 

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搬入は日が暮れたころから始まった。
アトリエから必要なものを運び出し、現場へ搬入していく。私含め女性3人に男性1人の合計4人。
大きな什器もあるので男手は大変にありがたい。
そして、この男性、実は今回のスウェット商品のデザイナーである。

 

ともに仕事をしたこともあるし、なぜか彼と物を作ると良いものができる
(想像した以上のものができるという意味で)

 

今回のスタッフ同士は彼もふくめ、みな10年以上の付き合いがあるから不思議なものだ。

 

フィッティングルームとリボンの設営に関しては、主に彼が手伝ってくれた。
不安な気持ちがほぐれていくのがわかる。ああでもないこうでもないと、作業を進める。
行き当たりばったりの設営だが、かかえていた不安はいつしか高揚感に変わり、翌日から始まるPOPUPSHOPの期待感へと変化する。

 

全体を確認し、期待感はさらに緊張感へと形を変える。

 

ああ、まるで少女が大人の女性へと変わっていく様のようだ。

 

そう感じたのはもしかしたら私だけかもしれないが。

 

 

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出勤当日、朝起きて少し緊張していた。
ショップに近づくにつれ、さらに緊張しながら店内へと足を踏み入れる。

 

 

 

 

もうひとりの頼りになるスタッフにざっと流れを教えてもらいながらオープンの準備をはじめる。
今回、彼女の所作が細やかでとても素晴らしく、常に感動しっぱなしだった。
頑張らなければ、と心の中で自分の頬をひっぱたいたのは言うまでもない。

 

 

そうこう準備を進めていると、少し遅れて初日はかなり盛況だった様子を嬉々と語りながらデザイナーが入ってきた。

 

 

この店内だからなのか、朗らかな天気のおかげか、どこか春の陽気を感じさせる空間の中、お客様がショップの扉を開く。

 

 

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ここから先の、2日間での詳しいお客様とのやり取りやエピソードは割愛させていただきたい。
文字にすればするほどなんだか安っぽく感じてしまうのだ。
書いては消し、を繰り返したが最終必要ないと感じた。

 

私のつたない文章力の所為かもしれない。

 

ただ、もし言い訳をするのであればお越しいただいて過ごした時間に少しの特別感を感じていただけるほうがよりこの物語を楽しんでいただけるのではないか。
そう、おもったのだ。

 

 

ーーー

 

 

お洋服の説明やスタッフの補助をしているうちに、あっという間に私が携わった2日は終わった。

 

いらっしゃるお客様と言葉をかわし、たまに冗談を交えながら、ゆっくりと存分にお洋服を見ていただけたと感じている。

 

時間により、少し混み合うこともあったが、お一人お一人、丁寧にお洋服を見ていただける時間は設けれたように思う。

 

私はあくまで補助的な動きをしていたのだが、時折、お客様とお話をしているうち、
手しごとにより作られた細やかなディティールに思わずお客様の口から漏れる感嘆の声に自分の広角が上がり、目尻が下がるのがわかる。

 

ああ、なんと心地よいことか。

 

この気分はおそらく、デザイナーが一番深く感じているだろう。
スタッフ初日の私がたまらない心地よさを感じたのだから。

 

改めて思い返すと、色々なお客様がいらっしゃった。

 

時間の許す限り、丁寧に試着してくださるお客様。
20年来、ブランドを贔屓にしてくださり、また改めてお洋服手にとっていただけたお客様。
アトリエと言う形を取り始めて、そこから新しくつながりを感じてくれたお客様。
自分の世界観を持ちながらも、消化し、自身らしいコーディネートを見せてくれるお客様。
事前に告知していた写真を御覧頂いて、真っ先にそのお洋服へと向かうお客様。

 

当日の写真を見返すと、もう1ヶ月が経とうというのにその日へ帰ったかのような気分になる。
それだけ、お洋服とブランドを純粋に愛してくださいっている方とお話ができたことを噛み締めながらこうして文章を連ねている。

 

 

ーーー

 

 

こうして第三者の立場から今回のPOPUPSHOPを振り返ると、少し悔しい気持ちになった。
(お客様からすれば私も当事者側の人間だろうか。
ただここではデザイナーが当事者という形で認識をいただきたい)

 

こんなにも愛されるお洋服がまだ在るのだと。
かつて、私も愛されるお洋服が作りたかった。
実際、その過程にて彼女に出会っている。

 

改めて再会し、私は違う畑で過ごしながら、いや、だからこそ、今度はお仕事という形で携わらせていただいている。

 

ただ、悔しいということは、やはり愛されるお洋服には強いあこがれがまだあったのだなと再認識したためだと思う。

 

思い返して出来事を反芻すればするほど
出会いは不思議なものだ。

 

そして彼女の紡ぐお洋服の物語も、私から見るととても不思議だ。

 

女性らしいイメージやテクスチャーから色っぽさを感じる繊細な生地を使用しながらもディティールには幼い少女のようなキッチュなイメージを組み込んだり。
かたや、立体でつくられる緻密な造形は「感覚」という言葉では表現しきれない、建築的な在る一種の男性っぽさを感じることすらある。

 

ただ、そこに在るのはあくまで女性を感じるお洋服である。

 

末筆ながら、数日の間ではあるが、お洋服を愛してくださるお客様と、そのお洋服の造り手と、短いながらともに過ごせたこと。
とても幸せだな時間をいただいたとしみじみ感じている。

 

つい、思いの丈を文字にぶつけると長くなってしまった。
このあたりでそろそろこの物語を終わることにする。

 

 

 

 

あえて、ここでは手記のような表現にさせていただいた。
分かり辛い部分もあるかと思うが、そこは次回の物語に期待していただくという形で甘んじて許していただきたい。

 

 

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いかがでしたでしょうか。
スタッフの書き連ねる文章で、少しでもこのPOP UP SHOPを振り返り、
改めて楽しんでいただければと思います。

 

最後となりましたが、
3日間という短い期間ながら、たくさんのご来店、本当にありがとうございました。
今後ともCiseaux de Taillerをよろしくお願いいたします。